台湾の有機(オーガニック)食品について

コラム

有機(オーガニック)食品とは

有機(オーガニック)食品とは、環境への負荷をできる限り少なくする方法で生産された食品になります。たとえば、農産物なら、堆肥で土作りをするところから始め、畜産物は、環境への負荷を減らして生産された飼料で育てます。

有機JASマークとは

有機JASマーク


有機JASマークとは、農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として自然界の力で生産された食品を表した日本のマークで、農産物、加工食品、飼料、畜産物及び藻類に付けられています。

なお、日本で有機JASマークが貼付されていない農産物や加工食品の名称に、「有機」や「オーガニック」といった言葉を使用することは禁止されています。

オーガニック先進国台湾

台湾の有機ロゴ

台湾では「有機農業促進法」が2019年5月30日に施行され、多様なサポートや奨励措置によって、有機農業の持続可能な発展が促されることになりました。それ以降、有機農産品の品質を高め、国民の健康を守り、生産者と消費者の両方の権益に配慮し、そして環境の有機生態系、農家の有機生産、消費者の有機生活という目標を達成できるよう取り組んでいます(参考:TAIWAN TODAY「有機農業の普及で海外市場を目指せ」)。

実際、2020年7月末の時点で、台湾で有機認証された農地面積はついに1万ヘクタールを突破し、1万328ヘクタールに達しています。農業委員会は2020年末までに、これを1.5万ヘクタールにすることを目指しており、これにより有機認証された農地が農地全体に占める比重は1.9%と、アジア太平洋諸国でもトップレベルとなります。

一方、日本の有機農業の耕作面積も同じく1万ヘクタールですが、これは日本の耕作地に占める割合だと僅か0.2%との統計もあります(参考:東洋経済「オーガニック後進国」日本の残念すぎる事実」)。

日台間の貿易において再審査なしで「有機」表示が可能に

2019年10月、公益財団法人日本台湾交流協会と台湾日本関係協会との間で、「公益財団法人日本台湾交流協会と台湾日本関係協会との有機食品の輸出入に関する協力の促進に関する覚書」についての署名が行われました。

その後、2020年2月1日以降、日本又は台湾の有機制度による認証を受けた有機農産物等に「有機」等と表示して、相互に輸出入できるようになりました(参考:農林水産省「2月1日から日本、台湾の有機農産物等に「有機」等と表示して相互に輸出入することができます!」)。

これによって、例えば、台湾の有機制度による認証を受けた有機農産物を、日本でも「有機」と表示して日本で販売することが可能になりました。反対に、日本で認証を受けた有機農産物を、台湾でも「有機」と表示して販売することもできます。

これは、台湾が締結した初めての二国間有機同等性協定(お互いの国で有機認証を取れば、相手国でも有機と表示して販売できるとする協定)になりました。

一方、日本については、現在、EU、スイス、米国、カナダ、台湾等と有機農産物及び有機農産物加工食品の認証制度について、相互承認をしています(参考:農林水産省「有機JAS制度について」)。

有機食品の輸入手続き

有機食品の具体的な輸入手続きについては、JETRO「有機食品の表示制度」より引用しております。

海外の有機食品に有機JASマークを付すには、3つの方法があります。

日本国内の登録認定機関または登録外国認定機関から認定を受けた外国製造業者が生産・製造した有機食品に有機JAS マークを貼付して流通させる方法(有機同等性協定必要無し)

外国製造業者は日本の農林水産省に登録している登録外国認定機関、または外国で認定を行っている日本の登録認定機関に申請します。JAS認定を受けた外国製造業者等は自社で有機JASマークを貼付できます。

日本の登録認定機関から認定を受けた輸入業者が有機JASマークを貼付して流通させる方法(有機同等性協定必要有)

輸入時点でJASマークが貼付されていないケースでは、以下の1、2をともに満たしていれば、日本国内で有機JAS認定を受けた輸入業者が輸入する場合は有機JASマークを貼付することができます。

  1. 日本政府がJAS格付け制度と同等の水準にあると認めた格付け制度を有している国(有機JAS同等国)で生産されていること
  2. 上記有機JAS同等国の有機認定を受けた有機農産物・同加工食品であり、これらの国の政府機関やこれに準ずる機関が発行する証明書が添付されていること

※「有機JAS同等国」の有機認定事業者は、当該国の格付制度により認定された商品に「有機JASマーク」を自ら貼付することはできません。日本側の認定輸入業者は上記条件(1と2)を満たせば輸入する商品に有機JAS表示を付すことはできますが、当該商品に加工を加えること(輸入された物資の小分け、ブレンド、精米等を含む)はできません。

日本の認定輸入業者が輸入先国の制度に基づく認定事業者に有機JASマークの貼付を委託する方法(有機同等性協定必要有)

日本の認定輸入業者は、上記2の同等性要件を満たした国から有機農産物および有機農産物加工食品を輸入する場合、輸入先国の制度に基づく有機認定事業者に委託することにより有機JASマークを貼付することができます。

日本で台湾のオーガニック食品を販売していく際の課題

台湾で有機認証を取得すれば、日本でも有機食品として販売できるようになったことで、今後台湾のオーガニック食品が日本で積極的に展開できるようになるかと思います。

その上で、現状考えられる課題について、いくつか整理しました。

  • 日本でのオーガニック食品の普及率の低さ
  • 既存の輸入食品とは別の販路を開拓する必要性
  • 「台湾=オーガニック先進国」としての認知度向上

まず、一点目について、日本ではオーガニック食品が台湾と比較してそれほど普及しておりません。台湾ではオーガニックスーパーをよく見かけますが、日本でオーガニックスーパーを目にする機会はほとんどないのではないでしょうか。ただし、ESGの重要性などが叫ばれるなかで、日本でのオーガニック食品の普及率も徐々に向上していくと考えられます。

オーガニック加工食品市場規模推移・予測(出典:矢野経済研究所

二点目については、現在台湾の食品が販売されているのが主に中華物産店、輸入食品店、バラエティストアなどになります。これらの小売店とオーガニック食品のユーザーは異なる可能性が高く、オーガニック食品をブランディングしていく上で新しい販路を開拓していく必要があります。

三点目について、台湾がオーガニック先進国であるという認知度を日本で向上させていくことで、台湾のオーガニック食品全体をブランディングしていく必要があるかと思います。この点については、台湾政府も力を入れており、各種展示会などで積極的にPRをしていることからも、認知度は徐々に向上していくことが予想されます。

最後に

台湾の有機食品についてまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。

otomap合同会社では、台湾の有機食品の輸入や、スポットコンサルティングなど、幅広い業務に対応しております。台湾の有機食品についてご質問がありましたら、「お問い合わせ」よりお気軽にご相談ください。

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