【台湾食品メーカー向け】台湾から日本への食品輸出についての解説

コラム

自社の商品を、台湾から日本へ輸出したいけれど、具体的に何をすればよいかわからない・・・

日本の輸入手続きを調べると、食品届出など部分的な情報は出てきますが、全体の流れや実際に何から始めればよいかわからない場合も多いかと思います。

そこで今回は、台湾から日本へ食品を輸出する際の、具体的な流れと必要事項を分かりやすくご紹介します。

なお、otomap合同会社では輸入から販売までの全ての業務に対応しております。詳細については「お問い合わせ」よりご相談ください。


輸入会社の選定

台湾から食品を輸出する場合、まずは日本の輸入会社を見つける必要があります。

台湾の食品を日本へ輸出して販売するには、以下の三つの方法があります。

  1. 自社で日本法人を設立、日本の自社法人で輸入・販売を行う
  2. 日本の輸入会社が輸入・販売を行う
  3. 日本の大手小売会社が直接輸入・販売を行う

「1.自社で日本法人を設立、日本の自社法人で輸入・販売を行う」のメリットとしては、自社で一貫してブランディング・販売まで行える点があります。一方、デメリットとして、日本法人の設立・日本での現地採用などコストが大きくかかります。

「3.日本の大手小売会社が直接輸入・販売」のメリットとしては、輸出前からある程度販売ロットが見えている点があります。一方、デメリットとして、台湾からの営業が難しい点や他の小売店には販売できない点があげれられます。

そのため、最も一般的なのは「2.日本の輸入会社が輸入・販売を行う」になります。

日本の輸入会社を選ぶ際の判断基準にはいくつかあります。

  • 輸入実績
  • PR・マーケティングのノウハウ
  • 日本における販路
  • 担当者との相性

豚肉加工食品など特別な食品を除き、適切なプロセスを踏まえれば、A社が輸入できてB社は輸入できないということはあまりありませんので、実は輸入実績はそれほど重要ではないことも多いです。

一方、日本で新たに商品を販売していく際に、ブランディングや商品販路の確保は非常に重要になります。日本法人が無い場合、日本でPR・マーケティングを行うのは日本の輸入会社になるため、輸入会社にブランディングのノウハウがあるかは、非常に重要なポイントになります。これらは各輸入会社のホームページやプレスリリースなどである程度確認が可能です。

最後に輸入会社の担当者との相性も実は重要なポイントです。輸入会社毎に、スピードを重視するのか、安全性を重視するのかなどスタンスはやや異なっており、事前のやり取りで自社が重視するポイントとズレがないかを確認する必要があります。


必要な資料準備(担当:輸出会社)

輸入会社が決まった後、日本へ食品を輸出する際に、事前に準備する資料は以下の4つになります。

日本で食品を輸入する際には、食品衛生法に基づく輸入手続き(厚生労働省「食品衛生法に基づく輸入手続」参照)、食品表示法に基づく日本語での食品表示(東京都「加工食品の表示を初めて日本語で作成する方へ」参照)の2つがポイントになります。

輸入手続の流れ:厚生労働省「食品衛生法に基づく輸入手続」参照

輸入手続きに最低限必要な資料が「原材料表」と「製造工程表」食品表示に必要な資料が「原材料表」と「成分表示」になります。

また、輸入会社と輸出会社での商品情報のやり取りを円滑にするために、「商品の詳細情報と見積もり」を一覧でまとめて共有しておきます。

この他、商品のイメージ画像や動画、商品の説明資料などもあれば適宜輸入会社と共有します。

各資料の詳細については以下をご参考ください。

輸出する食品の詳細情報と見積もり

目的:輸出会社と輸入会社での商品情報の共有、海上輸送・通関・倉庫の見積もり

輸出会社と輸入会社で輸出する食品の詳細情報と見積もりを一覧で確認・共有できるようにします。誰かが情報を更新した場合に、両社の全員が最新の情報にアクセスできるようにスプレッドシートなど共同編集できるツールがおすすめです(エクセルやメールで情報をやり取りすると最新バージョンの管理が難しくなります)。

  • 記載事項1:商品名(中国語&英語&日本語)

各商品の台湾での中国語名を記入します。公式の英語名が無い場合でも、事前に英語名を決めておいた方が輸送や通関の際など楽になります。食品ラベルに記載する日本語名は、食品表示の専門家と相談して最終決定しますが、初めは仮置きで日本語名を決めておきます。

  • 記載事項2:商品画像

どの商品かが分かるようにサムネイル画像を添付します。商品名だけでなく画像もシートに添付しておくことで記入ミスを減らすことができます。

  • 記載事項3:商品規格

各商品の入数や内容量などを記入します。

  • 記載事項4:賞味期限

各商品の製造からの賞味期限を記入します。海上輸送の場合、台湾現地から日本の倉庫までの配送に、初回は2ヶ月以上、2回目以降も1ヶ月半程度はかかるため、賞味期限が最低6ヶ月以上ある商品がおすすめです。

  • 記載事項5:1商品当たりの重量・サイズ

各商品の重量(g)とサイズ(W×D×H)を記入します。

  • 記載事項6:1カートン当たりの商品入数・重量・サイズ

各商品の1カートン当たりの商品入数、重量(NET:商品のみの重量&GROSS:ケースも含めた重量)、カートンサイズ(W×D×HとM3)を記入します。海上輸送や倉庫の手配時に、重量とカートンサイズ(M3)が必要になります。

  • 記載事項7:商品代金(1商品あたりの代金&1カートン当たりの代金)

各商品の仕入れ原価(1商品あたりの代金&1カートン当たりの代金)を記入します。この際、支払通貨は、米ドル(USD)なのか、台湾ドル(TWD)なのか、日本円(JPY)なのかを事前に決めておいた方が支払いの際にスムーズです。また、FOB*なのか、CIF*なのかなど取引条件も事前に決めておきます。

*FOB (Free on Board=本船渡し):荷物を海上輸送の船に積むまでの費用を輸出会社が負担。輸入会社が海上輸送と輸送保険を手配し、これらの費用を負担。

*CIF (Cost Insurance and Freight=運賃保険料込み条件):FOB価格に海上運賃・保険料を加えた取引条件。輸出会社が海上輸送と輸送保険を手配し、これらの費用を負担。

  • 記載事項8:最高積載段数

各商品の最高積載段数(何カートンまで上に積めるのか)を記入します。海上輸送や倉庫の手配時に必要になります。


原材料表

目的:輸入手続き・食品ラベルの作成

日本で食品等を輸入する場合は、輸入者に対して輸入届出の義務が課せられています(厚生労働省「食品衛生法に基づく輸入手続き」参照)。

輸入届出に必要な資料は以下の通りです。

  • 食品等輸入届出書
  • その他の関係書類
    • 原材料及び製造工程に関する説明書(加工食品等必要に応じ)
    • 衛生証明書(食肉、食肉製品、フグ等必要に応じ)
    • 試験成績書(個別の規格基準があるもの等必要に応じ) 

輸入届出は通関業者が作成・提出しますので事前の準備は必要ありませんが、日本語での原材料表と製造工程表は事前に用意しておく必要があります。

原材料表は、日本語の食品ラベルを作成する際にも必要となります。

日本語の食品ラベルを作成する際には、表記ミスや翻訳ミスが発生しないよう、食品表示の専門家と相談しながら作成します(詳細は「食品ラベルの作成」参照)。


成分表示

目的:食品ラベルの作成

加工食品には、食品表示基準に基づき、栄養成分の量及び熱量の表示(栄養成分表示)が義務付けられています(消費者庁「栄養成分表示について」参照)。

原材料表と同じく、日本語の食品ラベルを作成する際には、食品表示の専門家と相談しながら作成します(詳細は「食品ラベルの作成」参照)。


製造工程表

目的:輸入手続き

加工食品を輸入する際は、食品等輸入届出書に製造工程表、原材料表を添付する必要があります。

製造工程表に記載する事項は以下の通りです(ミプロ「加工食品輸入の際の製造工程表」参照)。

  1. 作成者の会社名・部署名を記載し押印する。
  2. 作成年月日を記載する。
  3. 商品名を記載する。
  4. 加熱工程がある場合
    1. 加熱の種類を記載する。(湯ちょう・ボイル・蒸し・ガスバーナーなど)
    2. 加熱の温度・時間を記載する。(90℃ 2分間など)
    3. 中心温度を記載する。(中心温度、75℃など)※鶏肉製品を輸入する場合、国別の加熱条件と合致する必要があります。
  5. 加熱工程後の冷却工程がある場合
    1. 流水冷却・自然冷却など冷却方法を記載する。
  6. 殺菌工程がある場合
    1. 塩素殺菌は、塩素名と使用量を記載する。
    2. 加熱殺菌は、方法・温度・時間を記載する。
    3. 放射線殺菌は、吸収線量0.10グレイ以下であることを記載する。
  7. 漬け込み工程がある場合
    1. 温度と漬け込み時間を記載する。
    2. 使用基準が定められている添加物を使用の場合は物質名を記載する。

なお、製造工程図のイメージについては、厚生労働省が開示している「HACCPモデル例」に掲載されている冷凍ゆでうどんの製造工程図などが参考になります。

製造工程表例:厚生労働省「HACCPモデル例」参照


検疫所への事前相談(担当:輸入会社)

上記の資料の準備ができたら、日本の各エリアの検疫所に、輸入についての事前相談をします(例.東京検疫所「輸入食品事前相談」参照)。

事前相談では、輸入可能な商品なのか、追加で必要な資料がないか等を確認します。

追加で必要な資料がある場合、輸入会社から輸出会社に依頼し、輸出会社が資料を準備します。


食品ラベルの作成(担当:輸入会社)

検疫所への事前相談と同時並行で日本語の食品ラベルを作成します。

食品表示例:東京都「加工食品の表示を初めて日本語で作成する方へ」参照

日本で販売する加工食品には、食品表示基準に基づき、栄養成分の量及び熱量の表示(栄養成分表示)が義務付けられています(消費者庁「栄養成分表示について」参照)。

栄養成分表示例:消費者庁「栄養成分表示について」参照

食品ラベルを作成する際には、食品表示法に精通した専門家に依頼するのがおすすめです。

表示する内容は以下の通りです(東京都「加工食品の表示を初めて日本語で作成する方へ」参照)。

  • 名称
  • 原材料名
  • 添加物
  • 内容量
  • 賞味期限
  • 保存方法
  • 原産国名
  • 輸入者
  • 栄養成分表示

これらに加えて適宜以下の項目も記載します。

  • アレルギーのコンタミネーション
  • 召し上がり方

また、記載する必要のある栄養成分は以下の5つです。

  • 熱量
  • たんぱく質
  • 脂質
  • 炭水化物
  • ナトリウム


海上輸送・通関・倉庫業者の選定(担当:輸入会社)

最後に、実際に商品を台湾から日本へ届けるために、海上輸送業者・通関業者・倉庫業者を探します。

  • 海上輸送業務:台湾から日本への商品の配送を行う
  • 通関業務:食品の届出や輸入の申告を行う
  • 倉庫業務:日本に届いた商品の保管・日本国内での配送を行う

これら3つの業務を、物流会社1社に全て依頼するケースもあります。各社によって、小口の配送に強い、大口での取引に強いなど特徴があります。


まとめ

以上が台湾から日本へ食品を輸出する際の具体的な流れとなります。

もう一度、全体の流れと各工程の担当を整理すると以下の通りです。

  1. 輸入会社の選定
  2. 必要な資料準備(担当:輸出会社)
  3. 検疫所への事前相談(担当:輸入会社)
  4. 食品ラベルの作成(担当:輸入会社)
  5. 海上輸送・通関・倉庫業者の選定(担当:輸入会社)

日本への食品輸出には様々な法律や行政機関が関わってくるため、非常に複雑ですが、上記の流れに沿って着実に進めて行けば、日本で台湾の食品を販売することができます。

次回以降の記事では、日本での輸入食品のブランディングや販路確保についてもご紹介したいと思います。

なお、otomap合同会社では、輸入代行からスポットでのコンサルティング、輸入後のPR・マーケティングまで幅広い業務に対応しております。詳細については「お問い合わせ」よりご相談ください。

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